新作コンセプト会議
「さーて、そろそろ新作にとりかかるかな」
「なんかいいアイディア浮かんだの?」
「おう、思いついたぞ!
これまでの作品の反省と、市場の分析を踏まえたうえで!」
「ふむふむ」
「うちに作れて、かつウケるのは、やっぱり妹ゲームだろう!」
「…………」
「そんな顔するなよ!
いろいろ分析したんだよ。最近はスマホゲームが流行っているだろ?
オタク層には奴隷の女の子といちゃいちゃするゲームがバカうけ。
それを参考に、こんなコンセプトを打ち立ててみた」
・プレイヤーが能動的に関われるゲーム性の高い妹ゲーム
・今回は、ストーリー性よりもゲーム性を重視
・プレイ時間30分〜1時間程度の短編。完成まで6年もかけたりせず、ささっと作る
「おお! なんかそれっぽい!」
「仮タイトルはこうだ!」
『俺の妹がこんなにガングロなわけがない!(仮)』
「全ッ然、反省も分析もしてないじゃないの!!」
「詳しいゲームの内容はこうだ。
ある日、妹がガングロになってしまった! 兄は妹を元に戻すために奮闘する!」
「タイトルそのまんまじゃない」
「おう、タイトルと中身を一致させてわかりやすく。中身も小細工なしの直球勝負だ!
だが正式タイトルはこの仮タイトルとは変える。
世間では仮タイトルが本採用になるケースは多いけど、これは本当に変える。
”俺の妹がこんなに〜”ってタイトルはもう手垢が付きまくってるからね」
「是非ともそうしてください」
「というわけで、チカ、出番だぞ!」
「え!? あたし!?」
「世の中にはなぁ、絶対に、『えー? ガングロのほうが可愛いじゃな〜い』
とか言い出すめんどくさいヤツらがいるんだよ。
そんな考えが頭にちらつくと、作者に迷いが出て、ゲームの土台が揺れるんだよ。
「解るような解らんような……。それでどうしてあたしが?」
「ガングロでなくナチュラルが可愛いと思われるためには描き慣れた妹がいるんだよ。
わかってくれチカ! 僕にはチカが必要なんだ!」
「そ、それってあたしが可愛いって……?
いやいや、だからってそんな熱く頼まれてもガングロって!!」
「あと、いちいち新たに妹のデザインを起こすのが面倒くさい。
頑張れ(古女房的な意味で)」
「ナニそれー!?」
「というわけで、日焼けサロン、金髪、ヤマンバメイク、ルーズソックスといろいろ頼むわ」
「いーやー!!」
「実は僕は、リアルではガングロヤマンバルーズソックスの同級生世代なんだな。
あんなのが同級生なのかとテレビ見ながら戦慄した。どんだけ怖かったことか――」
「怖い? ……自分の妹になんてことさせようとしているのよ!」
「その恐怖を乗り越えるべく、新作へ向けて動き出します!
『俺の妹がこんなにガングロなわけがない(仮)』略して、
マグロ! ご期待ください」
「”マ”はどこにあるのよ!」