「また新しいカテゴリができてる。
『どうせモテないし童貞ノベル見つけてプレイしようぜ』
ってナニこれ?」
「読んで字のごとく童貞ノベル見つけてプレイしようぜってことだよ」
「レビューみたいなものなんだね。
まあここを立ち上げたときに、フリーゲームについて語っていきたいとか書いてたもんね。
だからって童貞ノベルを見つけよう、って何?意味がわかんないよ」
「まあそれはおいおい説明しよう。
さて、記念すべき第一回は
『カエノエ!』というゲームだ!
2ちゃんの独身男性板発・恋愛アドベンチャーだ。
まあ超有名作なんだけどさ」
「あれ?これってたしか18ki……」
「話の入口だけ説明すると、賃貸アパートに住む冴えない主人公の青年が
ひょんなことから人間界にやってきた天使と悪魔の女の子と同居を始めて――、という感じ」
「うむ、割とオーソドックスな感じだね」
「ところがだ、主人公の設定が、
ブサイクで無職で彼女イナイ歴=年齢で名前が
『天童貞雄』(てんどうさだお)でさ……」
ガラッ!
「童貞乙」
「いや、
『天童貞雄』(てんどうさだお)……」
「見事なまでに、
『童貞』の二文字が入ってるね」
「そう、ブサイクだの彼女イナイだのという属性も相まって、
『これは実に期待させる童貞ノベルだ!』
息巻いてプレイしてみたわけだ」
「で、どうだった?」
「それがさ、蓋を開けてみたら
『ヤリチンノベル』だったんだ!
主人公が次から次へと女の子を引き寄せ、モテまくり、誘われまくり、そしてヤリまくり……
ブサイク非モテっていう当初の設定は?と、( ゚д゚)ポカーンととしてしまったよ。
台詞をちょっと抜き出してみるよ。うろ覚えだから違っているかも?
・いい女を抱いた後は充実感があるな。オナニーや風俗に行った後の虚脱感とは大違いだ。
・イケナイ子には、お仕置きが必要だな。
・俺のことを、散々エッチと言っておいて……。お前のほうがよっぽどエッチじゃないか。
な、なんじゃこりゃ〜(ノ゚皿゚)ノ~~┻━┻
現実はおろか、妄想内でも一生言う機会なんて絶対に絶対にない!
あまりにモテまくる主人公と自分を比べて鬱になったね。
俺は童貞が童貞のまま幸せになる……。
そんな童貞の童貞による童貞のための童貞ゲームがヤリたいんじゃ!」
「さすが、お目当ての子とは、まったく別の子のルートに入り、唐突に18禁シーンに突入。
あれ?と首をひねりながらもチ○チンをあま勃ちさせて
ズボンの上からいじっていた人は言うことが違う!」
「……(しゅん)……」
「その上、愛(好感度)が足らなかったらしく、
激しく愛し合った(笑)ヒロインのルートはバッドエンドに突入して、
絶望の崖に突き落とされました」
「誰にでもいい顔してちゃダメ、という恋愛ADVのお約束も知らないのが”らしい”よね」
「よくそんなんで自分でギャルゲーを作ろうと思ったもんだ」
「2周目でなんとか当初からのお目当ての子とハッピーエンドを迎えて婚約しますた。
話はめちゃくちゃ面白いんだよね。玄人はだしだよ。
キャラクター造形もメインのお話もヒロイン個々のエピソードも面白い。
選択肢もたくさんあって分岐も派手なのにまとまってる。
相当なボリュームあるのに、感動エピソードも萌えエピソードもあって全然ダレないし。
自分の才能の無さを歯がみしたね」
「
チ○チンをあま勃ちさせながら悔しがってたよね」
「まだ一人しか攻略してないし、全員攻略しないといろいろと語れる立場でもないんだろうけど、
なんかカエル以外の子にいい顔するの、気が引けるなぁ。浮気しているみたいで……」
「二次元ですらヤリチンになりきれない童貞神は言うことが違うね」
「もう一本紹介するんだよね?さてお次の作品は?」
「二本目は
『もう天使が泣かないように』というノベルゲーム。
今度の主人公はホンモノのモテないキモメンだぞ。
そのうえ無職で引きこもりだ。
登場人物の女の子たちに、「キモイですね。キモイじゃないですか」
と罵られまくる。
そして女の子達は主人公の友人のイケメンさんに言い寄って主人公はスルー。
最高だね」
「それのどこがが最高なの?」
「実にリアリティがあっていいね。
ゲーム内の女の子に『カッコイイです』って言われたって
「嘘付け!」って叫ぶほど心が薄汚れている人間にとっては
これくらいのさじ加減でリアリティが欲しいわけよ。
これも主人公の負の属性を使った一種のツンデレなわけだ。
この逆境をひっくり返したあとでどんな幸福が待ち受けているか、
はたまた、訪れるのはひぐらし並の救いのないバッドエンドか。
ところがこのゲーム、残念なことに体験版まで出したところで計画が頓挫したらしんだ。
残念、実に残念だ。きちんと最後までできていたら、お金出しても買うんだけどね」
「ホームページも無くなってるね。
どこからダウンロードできるかもわからない……。これは残念だね」
「未完の大作だな。最後までプレイできなかったこと、
陽の目を見なかったのが残念でならない」
「そういったゲームってつくるの大変だと思う……。
キモイだのモテないだのを全面に押し出したゲームって、
作り手が鬱になっちゃうんじゃないかな」
「でも、そういうゲームだこそ感情移入できる人間もいるし、
世間で評価されるようになってもらいたい。
そんなゲームを作っている人達を応援したいという気持ちもあって、
このカテゴリを始めてみたんだ」
「今後ともやっていくの?
今日みたいなレビュー(と呼べるかどうかもわからない珍文)」
「うーん、所詮、僕は作り手なんだしそっちに比重を置くのも違うと思う。
『人様の作ったゲームにとやかく言うより、自分のゲームをさっさと作れ!』
と思われてそうだしね。
だけど、良い童貞ゲームを見つけたら是が非でもご紹介していく!
と言うわけで今日紹介した二作品+『ふられぼ』の童貞度数をこんなグラフにしてみたよ!」
「……なんなの、このグラフ?」
「ゲームの持つ童貞/モテ要素やキモ/感動要素についてのみグラフにしたものだ。
左下(普通ならXYともにマイナス領域)だからといって面白くないと
いった評価ではないので誤解無きよう……。
また、中心の原点からの絶対値=面白さの絶対値というわけでもないです。
まあ、原点が平凡な現実世界と思っていただければと。
もう天使が泣かないようには名作です。うちのゲームはクソゲーですが」
「だーかーらーそんなグラフを作る暇があったら自分のゲームつくりなさいよ」
「次回は『NEET゛』というゲームをとりあげるのでどうぞよろしく。
そして、それっきり僕の知る童貞ノベルは弾切れです。もし、ここを読んでいる方々で、
これは童貞ノベルをなんじゃね?というゲームをご存じの方がいらっしゃれば、
お知らせいただければ幸いです」